● (北方ジャーナル)2005年12月号 道新内部の「取扱注意」文書を全文掲載!

 10月20日、道新の労組は同社元部長の広告経費の詐取事件について、会社と緊急団交を行った。翌日、労組は団交で行われた「一問一答」をすべて掲載し た
『送信労組速報No.37』を発行。「取扱注意」と銘打たれたその文書は道新社内で大きな反響を呼んだ。「会社側とのやり取りの部分に関しては、録音 テープを
もとに加工を施さず忠実に再現した」という労組の談を尊重し、本誌もあえて労組速報に掲載された「一問一答」を加工を施さず全文掲載する
(ただし、明らかな誤字は修正した)。細かな文字が大量に並ぶ結果となってしまったが、ぜひ一読してほしい。各紙が報じた「道新元部長の流用事件」が、
事の本質 を捉えていないことが如実に現われているはずだ。


▲土合委員長 8月1日に組合委員長たる私、土合が社のコンプライアンス委員会に申し立てていた、前東京営業部長による広告企画費等詐取事件――
 一応、こう呼ばせていただく――が、本日各紙朝刊に一斉に報道された。
 コンプライアンス委への申し立ては、個人からのものしか想定していないということなので、私の名前で行ったが、実態としては、組合員の通報を受けて
組合として申し立てたものだ。申し立て後、今月14日にコンプライアンス委の調査結果に関する説明を受けるまでの間、組合はさまざまなチャンネルを通じて、
前部長を告訴することや事件を紙面化して読者や地域社会への説明責任を果たすことを会社に要求してきた。それを怠って隠蔽を続けても、必ず他のメディア
によって明るみに出され、その場合、単に不祥事が発生したにとどまらず、ひた隠しにしていたことでさらに大きな社会批判を浴び、5倍、10倍のダメージを受ける
ことが明らかだったからだ。しかし、会社はそういった働きかけについにこたえることなく、今日、こういう事態を迎えた。詳細は後ほど小林副委員長らが質問するが、
今回の件の問題点は、大まかに言って4点あると考える。

1つは事件の発生を許したことそのものだ。次に前部長が今年の5月の段階で「犯行」を認め、被害金額の弁済に応ずる姿勢を見せたにもかかわらず、何の措置も
とらずに依願退職させ、割増つきの退職金まで払ったこと。3つめが、会社側が事件を表ざたにしなかった理由として、裏金報道で関係が悪化している道警の介入
を避けたかったためだとしていること。そして、隠蔽のためのこの口実について取締役会が一定の理解を示し、池田常務以下3人に極めて甘い処分を下しただけで
事件の幕引きを図ろうとしていること――これが4つめだ。
こんなことが社内でまかり通るなら、私たちは自らペンを折るしかない。社内でこんなことをやっていながら、紙面でどこかの団体の不祥事を厳しく追及するなど
といったことができるほど、私たちは恥知らずではない。社員を恥知らずにしないために会社が何をしなければならないか、正しい危機感をもって真剣に考え
、 速やかに実行に移す義務があなたたちにはある。まずは、きょうのこの団交で私たちの質問に対して、誠実に真摯に答えてほしい。
 会社中にモラルハザードがまん延し、北海道新聞が滅びへの道を一気に転がり落ちるのか、苦しいながらも、少しずつでも読者の信頼を回復して、市民に愛され、
権力に恐れられるメディアとして再生してゆくのか。この団交でのあなたたちの一言一言が、その分かれ道につながるという認識をもって、今日の団交に臨んでほしい。

▲組合 8月1日に組合が土合委員長名でコンプライアンス推進委員会に申し立てた件について、調査結果を具体的に示してほしい。


■ 室蘭に続く不祥事を謝罪


●管理担当常務 私の方から冒頭に一言。室蘭問題に引き続いて、広告局で不祥事が明らかになったということは、大変残念というか申し訳なく思っている。
特に今回の場合は、委員長の指摘もあったが、不正そのものも問題だが、その後の対応をめぐって「会社の姿勢に批判がある」ということも承知している。
ただ、委員長の方で(述べた)、「読者の信頼」それから「報道機関としての在り方」という問題について、私たちが深く考えなければならないということは
もちろん だが、今回の問題の処理にあたって、「道警の介入」という表現もあったが、いわゆる危機管理の面で特殊な事情下の中で対応したということもあった
ということも理解してもらいたいと思う。

●経営企画室次長 8月1日に申し立てがあった。内容は大きく分けて2点だと思う。「6月末で退職した元釧路支社広告部長が、東京支社在職中にホステスを 通じて
飲食代を水増し(請求)させ、525万円を流用した疑いがある」というのが一つ。「広告局幹部はこれらを認知しながら、真相究明と返還要求の努力を 怠り、依願退職
を認めた」と、この様な申し立てだ。同日受理し、8月3日に(コンプライアンス)委員長の経営企画室長が、経営企画次長、人事部長らによる 幹事会を設置して、
調査と対応方針案の作成を指示した。これが経緯だ。調査としては、経理部より企画費、企画開発費の支払い一覧などの提示を求めたほか、元部長が関係した社支払金額
を確認。さらに、本人、飲食店主、広告局幹部から事情を聞いた。調査結果だが、この指摘された飲食店に対する社の支払いは、01年11月から04年1月までの間で610万円
と判明した。更に、店主の聞き取りと提示さ れた売上明細から、元部長が関係した実飲食代は、01年10月から02年10月までの76万円とされた。これについて飲食店の女性
は、店側が示した飲食代 と請求額の差額500万円について、「その程度になると思う」と認めた。


■ 元部長、5月に詐取認める

広告局幹部については、局内の調査によって元部長が関係した約500万円の流用の疑いについて、今年1月までにその疑いを持ったということだ。その後、 5月の連休明け
に元部長と面談して、元部長は私的流用を認め退職の意向を示した。しかし、危機管理面での特殊な状況にあって、慎重な対応ということで、ま た、元部長がこの時期、
内臓疾患で入院、手術したこともあり、具体的な処理手続きに踏み切れないまま退職を受理した。こういうことだ。
 そして、当委員会の判断としては、申し立てを受けた内容は、幹事会が調べた資料、あるいは聞き取り調査とほぼ一致している。さらに、社から支出された 610万円の
うち、約500万円について私的流用の疑いがあると推認せざるを得ない。この問題の背景には、やはり、その不正を見逃してきた広告局のチェック体制の甘さがあった。
更に、「私的流用の疑いをかなり濃厚に持ちながらも、特殊な状況下で調査に詰めを欠いて対応をとれなかったことも妥当ではなかった」というふうに判断した。


■ 既に退職、示談で返還要求

 これを受けて対応方針として、元部長による私的流用額を約500万円と推認し、この500万円を自主的に返還させるべきと判断する。二つめとして、元部 長が私的流用
を認め、また6月末で依願退職している点に留意し、返還による示談的手法で決着を図る。もう一つは、広告局が厳正な処分にちゅうちょした当時 の状況を考慮しても、
適切な対応を怠った責任は免れないと判断する。こういう3点の対応方針をまとめ、役員会に諮った。これが調査結果だ。

▲組合 詐取した金銭の使途についてはどう述べているのか。
●次長 この「女性との生活費に充てていた」というふうに、女性と元広告部長、双方の話から私たちはそう認識している。


■ 愛人との生活費や手切れ金に

▲組合 私たちの聞いた話では、「愛人と同棲するための生活費。そしてその女性と別れるための手切れ金として使った」ことを認めていると聞いている。事実か。
●次長 そのように認識している。
▲組合 今朝の報道で、使途について「飲食費などに使った」という報道が見られるが、そのように答えたのか。
●次長 いいや。そういうふうには答えていないし、もちろんその中には飲食費も当然あるという意味だと、私どもは思っている。
▲組合 取材に対してはどのように答えたのか。
●次長 「飲食代など」というふうに答えたと思う。
▲組合 生活費やそのほか、いま私が挙げたようなものについては答えていないのか。
●次長 答えていない。
▲組合 広告局は昨年秋からこの件について調査を行った。その内容と結論、そしてそれに基づく対応を示してほしい。


■ 1月に使途不明金500万円把握

●常務 その元部長というのは、東京支社の在職中から「経費の使い方に問題があるのではないか」というようなことがあって、東京から釧路に異動するわけだが、
そうした指摘があった。そうした中で広告局は昨年の秋から局内調査を続けてきた。その中で、先ほどからでている請求額が多かった飲食店の聞き取り調査 を行った。
その中で実際の利用額(店の売掛金)と、社が処理した金額の差が約500万円あることが分かった。これは今年1月下旬の時点で判明している。そ れで、広告局としては
「室蘭事件の裁判がどういうふうになっていくのだろう」というような経緯を見ながら、5月連休から行動を起こして本人と面談した。そ の中で本人に局内調査の結果、
「500万円の差があるのではないか」と示し、「この差額は不正ではないか」と伝え、本人にただしたら全面的にその事実を認 めた。その後、広告局と本人の話し合いで
広告局側から「事実を認めた以上、このままでは済まないのではないか。少なくともこの差額は返還してもらう」というやりとりがあった。その中で5月下旬に退職願が
提出された。この後は、コンプライアンス委員会の経営企画室次長が答えたが、この時点で本人の入院、手術 の予定があったということとか、最初に触れたが、危機管理と
いうような面での私たちの特殊な状況にあったという判断もあった。これは広告局の中の調査でも そうだが、それで処分、及び差額返還の適当な社内手続を踏み切らない
まま退職願を受理した。というのが広告局の対応だ。
▲組合 1月下旬までに判明していたということは、組合でも確認しているが、まずは一つめ、連休に本人に聞き取り調査をするまでに4カ月かかっている。常務は裁判の
経緯を見てからと言っているが、なぜ4カ月も待たなくてはいけなかったのか。


■ 室蘭の判決を控え調査凍結

●常務 裁判の経緯ともう一つは、7月の人事に向けて、社内的な手続を考えていた。
▲組合 人事があるなら余計、1月下旬に判明してから4カ月うるかす理由はないのでは。
●常務 だから、今言ったように、室蘭事件の裁判の経緯を見ていた。
▲組合 4カ月はそのせいだと。
●常務 その通り。
▲組合 判決はもうだいぶ前に出ていたのでは。
●常務 控訴しないと確定したのは4月。
▲組合 なぜ、裁判を待ったのか。
●常務 室蘭事件という問題は、発生から決着まで、私たちの会社が受けたダメージが大きい。室蘭事件との関係というよりも、また不祥事が起きたという中で、
室蘭事件を踏まえて、再度、対応しようということだ。
▲組合 また起きてしまったからこそ、早急な対応が必要じゃなかったのか。
●常務 また起きたというが、室蘭事件と重なる時もあるし、室蘭事件の後に起きている問題でもない。
▲組合 話がそれるが、昨年、室蘭事件が起きた時に、社長は膿を出し切れと言ったはずだ。なのに、今の対応はそれと反すると思うが。
●常務 膿を出し切るということは、どう対応するかということが膿を出し切ることだ。
▲組合 判決を待つこと自体、正反対の行動だと思うが。
●常務 私はそう思わない。
▲組合 分かった。本人が不正を認めたのに、処分を出さず依願退職を受理したということについては、その理由について、若干、会社と認識が違うので、その点に
ついては後ほど質問する。元部長の行為は、具体的に何の犯罪行為、または違法行為にあたるのか。


■ 広告経費流用は詐欺の疑い

●常務 弁護士とも話をしたら、これは詐欺の疑いがあるということだ。
▲組合 組合も同じ認識だ。最高懲役10年の重罪である詐欺を、なぜ告訴しないのか。
●常務 本人が退職しているということは、たいへん重たいことだ。500万円を返還することを確約していること。そして、何よりも組合からは何を言っているのかと
問題にされるかもしれないが、先ほどから出ている特殊事情という中で、内部の中で決着し、告訴しないことにした。
▲組合 退職の事実があると言った。今となってはそうかもしれない。しかし、1月下旬に事実が判明して以降、早急に対応していれば、退職前に処分は下せたはずだ。
そう思わないか。
●常務 1月に判明して、室蘭事件の裁判の経緯を見たという4カ月をどう考えるかだが、今、指摘されるように早急に対応していれば、その段階で、ということもあった
かもしれない。
▲組合 先ほど、500万円の弁済を確約しているということだが、今現在、弁済されていないということか。
●常務 されていない。確約書は10月の下旬までに振り込むということなので、その手続きを進めているところだ。
▲組合 期限は。
●常務 10月末だ。手続き上の問題で、1日、2日ずれるかもしれない。
▲組合 確約書というのは、法的な手続きで、返還してもらう担保になるのか。
●常務 なる。これは弁護士も入った見解だ。


■「被害は回収、公表必要ない」

▲組合 コンプライアンス推進委が最終報告を出した今月14日、取締役会は記事化も公表もしないと決めた。その理由は。
●常務 コンプライアンス推進委が14日に開かれた後、社内的な説明ということで、役員会の了承、役員・局長連絡会、支社長を通して、社内的な説明をし た。一方、
なぜ、紙面化しなかったということだが、報道機関というところに立つと、情報公開が一つの筋と思う。今回の場合は、元部長が辞めていることと、 お金の返還の確約書
を取っていること、それから、何回も言うようだが、特殊な事情という中で、外に知らせなくてもいいのではと判断した。
▲組合 組合は14日、池田常務と村田取締役経営企画室長、佐藤取締役総務局長に、「今公表することが、ラストチャンスだ」として、同日組の紙面で常務の 処分を含めて
記事化すると同時に、早急に告訴するよう求めたが、3氏はいずれも「告訴も公表も避けるのが取締役会の結論だ」として拒否した。そして他紙の 取材を受けたことで公表
するという対応になった。本日読売夕刊は「処分後も公表せず」と4段で報じた。14日に処分を公表しなければ、だれでも予測できた 結果だ。その判断の誤りについて、
取締役会はどう責任をとるのか。


■ 「毎日」の取材で一転記事化

●常務 今日の朝刊はご覧になったと思うが、昨日の夕方に毎日新聞から取材が入った。その段階で新しい展開になったと思う。他紙に掲載されるとなれば、道新の読者
にも伝えておこうと掲載したのが事実だ。取締役会が決めたというのはその通りで、なぜ紙面化しないのかという理由を理解して欲しい。先ほど言ったことで紙面化しな
かったということだ。取締役会の判断が間違っていたとは思っていない。
▲組合 他紙に漏れないことを期待していたのか。
●常務 他紙に漏れるということよりも、これは内部の問題で、最初は外に発信する必要性を認めなかった。
▲組合 でも、他紙に漏れるのは客観的情勢として間違いないのだから……。
●常務 結果的に今なったわけで、漏れるだろうという判断じゃなくて、14日の時点では、私たちはこの内容を紙面化する必要がないと判断したということだ。
▲組合 その時に他紙に書かれたら、(道新が)書くということを想定していたのか。


■ 他紙の取材、当初想定せず

●常務 その時は想定していない。その時は他紙が書くか書かないか分からないわけで、結果的にこういう状況になった。最初から漏れるだろう、漏れないだろう
じゃなくて、私たちは紙面化する必要がないと判断して、紙面化しなかった。
●組合 14日の時点で、他紙に漏れた場合の対応を想定した話し合いをしていないとうことか。
常務 他紙に漏れるか、漏れないかじゃなくて、私たちが今の段階では、紙面化する必要はないだろうということだ。
▲組合 話し合ってないのか。
●常務 話し合っている。他紙がうんぬんじゃなくて、これを掲載することがどういうような反響を呼ぶかという話は全部している。
▲組合 その判断であれば、他紙が出しても、あえて掲載しないという選択肢があったのか。
●常務 選択肢はあったかもしれないが、他紙に載れば、私たちとしては、道新の読者にも伝える必要があると、そこで判断を変えたということだ。
▲組合 まったく理解できないが、次の質問にいく。
 14日に決めた池田常務の処分、減給10%・1カ月は、あまりに軽いというのが組合の認識だ。その軽重の妥当性を説明してほしい。


■ 常務処分は管理監督責任

●常務 今、組合の方から大変軽いとの指摘があったが、私たちの受け止め方というのは、大変重い処分と受け止めている。池田常務の処分は、社員に対する管
理監督が不十分だったという理由になっていたが、この問題の対応をめぐって、元部長という人の家族、家庭を持っているとか、入院しているという家庭事情とかを
考えたり、普段の時だったら、判断ミスみたいなことで住むことだったかもしれないが、先ほどから何回も言っている危機管理面での特殊な状況の中で、池田常務は苦渋
の決断をした。(編集部注・後の団交で常務は「元部長という人の家族、家庭を持っているとか……」と述べたことについて、「心情的にそういう ことを言ったが、
情状酌量にならない」として、答弁を修正した)しかし、そう言いながらも、組合からの指摘じゃないけれども、本当に対応があったのかという甘さもあって、けじめを
つけておこうということで処分した。私は大変重い処分と思っている。
▲組合 今、重い処分だと、処分内容として管理監督のことも説明されたが、私たちは、池田常務らの管理監督責任を問うているのではない。それ以上の罪があると思って
いる。室蘭広告費売上金横領では、専務と常務、取締役広告局長が減給30%・1カ月になった。これは「不正を見抜けなかった」という管理監督責任を問われたものだ。
しかし、今回は、「5月には元部長が不正を認めたのに懲戒免職にせず、6月末での依願退職を認めた」という、民法の善管注意義務、商法の忠実義務違反、さらには退職金
を支払ったということからして、特別背任の疑いもぬぐい去れない事案だと考える。会社の見解は。
●常務 まず1つは室蘭問題と今対比されたが、室蘭問題というのは、やはり大分長い間にわたって今回と比べものにならないほど多額の金であったということ。また、
広告代理店を巻き込んだというようなことで、対外的な問題もあった。先ほどその(処分の)中にも私も入っているが、30%・1カ月の減給を受け た。今回の問題は、
1つは先ほども言ったが、池田常務の管理監督責任ということもあるが、今言った対応の依願退職を受けたとか、そのまま(退職届を)受けたとかいうようなことの、
いわゆる管理的なものということも踏まえたものだ。
▲組合 組合が指摘した善管注意義務、忠実義務違反、特別背任に関しては会社は全くそういうふうに当らないという認識か。


■ 「特別背任にはあたらぬ」

●常務 当らないと思っている。
▲組合 顧問弁護士もそういう見解か。
●常務 顧問弁護士には直接、そこら辺までは話してはいない。特に、指摘されたような特別背任だったかな。
▲組合 善管注意義務、商法の忠実義務違反。ぜひ1度聞いてみてほしい。次回の団交でも聞こうと思っている。今年6月、当時の池田取締役広告局長ととも に、元部長
の問題に当った責任者である当時矢萩広告長次長(現在の広告局長)は、1番軽い処分である厳重注意だ。懲戒処分でもない。処分の軽重ほど、公平性・透明性が問われる
ものはない。今後、会社は、矢萩局長と同等の問題を引き起こした人を厳重注意処分にすることになるが、よろしいのか。
●常務 今、私たちがした処分は間違っていないということで、厳重注意処分ということだと思う。
▲組合 現段階で、捜査機関の動きがあるかは把握しているのか。
●常務 今の段階では把握していない。
▲組合 読者からの反応はどうか。
●常務 読者センターに1件、ファクスが流れてきている。社内の各局ではまだ聴取していないが、読者センターに来ているのは1件だ。
▲組合 内容は。
●常務 流用事件についてということで、身内には優しいようだ、実名で出してもいいんじゃないですか、というようなこと。趣旨として、身内に優しいようじゃないか
ということだ。
▲組合 コンプライアンス委員会の調査によると、元部長を処分しなかった理由として「捜査機関の介入を避けたいという意識も働いた」とある。これは管理担当常務も
言っている。池田常務もコンプライアンス委員会が調査結果を出した今月14日に、組合に対して同様な見解を示している。しかし、矢萩広告局長は今月14日、本社広告局
での職場説明でこう発言している。
「元部長本人も返却部分についても、退職金についても『局、会社の判断にお任せします』という意思表示をしていた。そういう意思表示がなされていたのに、 なぜ
こうなったかについては、広告局の判断としては、退職金関連の話を手続き上、具体的に進めていった場合に、結果としてそれが広告局から他局に情報として知られること
になる、ということもあって、他局に知られない形でやるための、その詰めの部分にいい思案が浮かばなかった。結果的には通常通りの退職金を支払った上で、さらに
コンプライアンス推進委員会が、不正流用の返還を求めるような作業を行う形になってしまった」。こう発言している。また、19日の東京広告局での職場説明では、
「連休明けに元部長と会った。その場で『使った金額は返してもらう』というやり取りをした」、「返してもら うつもりだった。しかし返却するタイミングで明るみ
になるので避けたかった。そういう判断をしたが、間違いだったという指摘があるなら、見解の相違だ」と 話している。つまり、元部長が返還の意思を示しているのに、
返還したり、懲戒処分にしたりすれば、広告局外にも知られることになる。それを恐れて、こうした行動を取 らなかったということを素直に認めている。他社や捜査当局
に知られたくないことだけではなく、他局に知られたくなかったからではないか。
●常務 今の矢萩局長の(14日と19日の)発言は、私も聞いている。その中で、矢萩局長が「他局に知られたくない」ということを言ったのは、事実のようだ。これは、
先ほどから言っているが、どうしても内部で決着させたいということで、退職金の計算などもすると、他局部というか、それぞれ局が関わるので、そこにはしたくなかった
という、今の副委員長じゃないが、素直といえば素直で、それをそのまま言っているということだ。その心は、コンプライアンス委員会の結論、基本的な方針を役員会で
了承したということと同じように、内部でこの問題を終え、外部に出すことは警察の介入を招くのではないかと考えてやった話 だと思っている。
▲組合 社外にというならば、会社の論理にも一理あるとしても、広告局外にということであれば、常識的にそれは捜査機関介入うんぬんではなく、自己保身と取られても
仕方ないのではないか。


■「局幹部、自己保身の面も」

●常務 それはそうかもしれない。自己保身というか、隠すというか。そういう意味でね。(編集部注*後の団交で常務は「広告局の幹部の2人は自己保身というのは一切考え
ていなかった」と述べ、この答弁を修正した)
▲組合 また、室蘭広告売上金横領事件について、昨年5月31日に行った緊急団交で、当時の池田労担はこう発言している。
「道警の組織ぐるみの不正を暴く立場で、新聞社がこうした過去にないような大規模な不正が1人によって起こされた。それを隠すということは、当然社会的 な、新聞社の
信用失墜につながる。そういうことももろもろ考えて、調査が終わって、処分が確定して、すみやかに自ら北海道新聞社として記事化すると同時 に、他社の取材に対しても
スピーディーに対応した。『道新はなんと内部管理は甘いのかな』という批判は当然出る。しかし、公表もしないで、抱え込んでいて、外部に漏れて、取材を受けて雑誌や
新聞に載るという方がもっと信用を失墜させてしまうということで、今回は毅然とした対応と、警察に対しても被害届を 出した。きのう処分決定と同時にそういう手続に
入った。会社としては、読者の信頼を損なうことを少しでも軽くしたいという思いで、スピーディーな対応をしたつもりだ」。こう述べている。公表をしないと、もっと
信用を失墜させてしまう、と言っていた本人が、なぜ1年後に、まさに公表せず、さらに信用を失墜させることをしたのか。本人から団交の場で話を聞かざるを得ない。今
の話を聞いて、常務はどう思われるか。


■道警介入恐れ内部で処理

●常務 まず1つ。室蘭問題との相違があるということ。それからもう1つ。室蘭問題を契機にして、契機というよりも室蘭問題と同時に、道警の裏金問題の取材をしていく
というか、警察との関係というものが大変緊張があると、そういう中で今回の問題があったという2つのことがあったんじゃないか。室蘭とはやっぱり違うんじゃないかなと
考える。公表すると、池田常務が言っている、こういうスピーディーにやはり情報公開をきちんとしてやることが新聞社のはっきり言えば務めである。簡単に言えばそういう
ことを言っているわけだ。だから今回の問題は、やっぱり室蘭問題とは違うと。それから先ほど言ったように、報道機関 として情報公開するというのは、これは本当に
その通りだと私も思う。しかし、今回の対応の中で、やはり警察の介入というか、その問題を考えた時に、やっぱりこれは内部できちんと説明し、内部で決着させればいい
問題ではないかと判断したと。
▲組合 その内部の決着が依願退職を認めることか。
●常務 結果的に退職したということだ。
▲組合 新発行第4次発行や車両再編成団交の中で、会社は「1万円でも10万円でも節約したい」と経営の厳しさを訴え、組合に理解を求めている。一方で、会社は支払う
べきではない退職金を払い、会社に損害を与え、その弁済もしていない。弁済というのは500万円でなく、退職金そのものの意味だ。これでどうして組合員の理解を得ると
いうのか。
●常務 (しばらく沈黙)今、指摘されたように、会社としてはやはり1万円であろうと、1円でも、少しでも効率的な経営ということが、経営基盤をきちんとするという
意味合いでの、それは必要なことであるということで、私たちは今言われたような課題を提案している。それと同時に、一方で(元部長が流用し、 返還を確約した)500万円
とは別に、退職金を払っているのではないかと。(質問の意味は)その退職金が弁済されていない、退職金が返されていないという ことかな。500万円はいわゆる実害的
なものはないわけだ。その500万円という実害はないわけだ。会社にとってはね。
▲組合 実はわれわれは本当に500万円かということを疑っているが、今は焦点が拡散してしまうので、あえてそこは言わない。
●常務 それはやはり本人の意向で退職という申し出があったわけだから、それに対して退職金を払うというのはその時点では正しかったと。
▲組合 もう退職してしまった人から退職金を取り戻すことは不可能だと考える。会社も同じ考えだと思う。
●常務 そうだ。
▲組合 それは辞めるときに既に事実を知っていたのに、(退職を)認めた以上、一事不再理というか、そういうことになると思う。であるならば、責任は元部長という
よりはその退職金の分だけ、会社に払う必要のないものを払わせた責任は役員、会社にあるのではないか。
●常務 しかしそれは本人が退職するという申し出があって払ったわけだ。だから。
▲組合 その判断をしたことで結果的に会社に退職金の分、約2千万円ちょっとと聞いているが、その分会社に損害を与えたことにならないか。


■「会社に損害与えていない」

●常務 それは会社に損害を与えたとは思わない。
▲組合 おそらくその回答については組合員から大きな反発が起こると予想する。であるならばおそらく次の質問も答えが見えているが聞く。
 支払うべきではない退職金、しかも45歳から対象になる割り増し分75%も満額支払い、会社に損害を与えた池田常務に損害の弁済を求める考えはないか。
●常務 ない。
▲組合 取締役の中でこうした弁済を求めるべきではないかという意見は1人もいないか。
●常務 ない。
▲組合 コンプライアンス推進委員会の第5条に「役員および従業員は、会社の信用・名誉を傷つけ会社に損害を与える可能性がある不祥事などの情報や、業務に関連して
コンプライアンスに反する恐れのある行為などの情報を得た場合は、本委員会に速やかに報告しなければならない」とある。簡単に言えば通報義務 だ。つまりコンプライ
アンス委員会の発足以降は、この種の不祥事を一局内だけで処理すること自体が禁止され、同委員会に調査を委ねなければならなくなったのではないか。
●常務 その通りだ。
▲組合 なのに広告局はこの対応をしていない。
●常務 今回の場合は、先ほど土合委員長、個人としていわゆる土合さんから申し立てがあったということが一つの通報、社内的な通報だと受け止めている。
▲組合 広告局はこの通報義務に反したのではないかと聞いている。
●常務 だから、それは広告局としてそこで決着したと思っていたということだ。
▲組合 このとき既にコンプライアンス委員会は発足していた。
●常務 コンプライアンス委員会にはだから、この段階では(広告局は)通報もしていないし、先ほど言ったように土合氏が通報というか、異議申し立て人になってくれて
この問題の調査が始まったと、そういうことだ。
▲組合 広告局がコンプライアンス委員会に通報義務があるのに、しなかったことについて、常務はどのように考えるのか。
●常務 通報義務というのは、こういうような事実があるから調べろと、いわゆる土合さんが出している申し立てと同じようなことかもしれないが、私は、広告局の中では
今回の問題はこれで解決したんじゃないかということで通報しなかったと思う。
▲組合 最初に聞いたように、一局内だけで処理すること自体が禁止されているのではないか。


■局幹部、通報義務ないと判断

●常務 だけど、それは広告局内では、これはコンプライアンス委員会に上げるべき問題じゃないという判断をしたということだ。
▲組合 上げるべき問題じゃないと。
●常務 と判断したと。
▲組合 その判断は妥当だと思うか。
●常務 妥当かどうかという判断は、それは結果論的に私が今から言うという問題じゃなくて、その段階では広告局としては通報するというか、そういうことはする必要が
ないと判断したと。
▲組合 では今後、同じような事実が起きたときに通報する義務があると常務は考えるか。
●常務 それはケースバイケースではないだろうか。
▲組合 この条文を読む限り、百パーセント、通報する義務があると考えるが、常務は考えないか。
●常務 考えない。ケースバイケースだと思う。
▲組合 となると、このコンプライアンス推進委員会というのは骨抜きというか、建前だけのものなのか。
●常務 それはあなたが思うだけで、それは建前かどうかは別にして、コンプライアンス委員会として対応しなきゃならないという、それは決まりであるということだ。
▲組合 分かった。「あなただけ」かどうかは組合員によく今後、聞きたいと思う。


■広告局長、暗に退職求める

 14日本社広告局での職場説明会で矢萩局長は「5月連休明けに、部長は素直に公私混同を認めた。会社として『やめろ』とか、そういう迫り方ではない。 『このまま
ではいられないですね』、このような問いかけに対して本人が会社の意をくんで自主的に退職願を出してきた」。もう一つ。「本人がこういう事実を 認めた以上、このまま
ということにならないよというようなことで、それが本人にとって、ある意味では退職を示唆するようなやり取りに映った場面はあるかも しれない。その場で『やめれ』
とか、退職金がどうのこうのとか、その場でやり取りすることはなかったが、本人が不正を認めた以上、『このままではいかない ぞ』というやり取りは私の方から話として
あった」と話している。これは矢萩局長に団交の場で真意を説明してもらわざるを得ないと考えるが、どうか。
●常務 それは承る。


■室蘭事件当時、既に疑惑浮上

▲組合 この論旨からいくと、本人が退職を自ら申し出たというよりは直接的な言い方をしないにせよ、会社がそういうようなことをニュアンスとして言って、 それを
まさに会社の意をくんで元部長が退職願を出したと考えるのが自然と、われわれは考える。ただ本人がいないのでこの場ではこれ以上聞かない。こういうことになるので
団交の場に、池田常務、矢萩局長の参加を求めていたのだが、会社が応じなかったのは残念なことだと思う。室蘭広告事件のとき会社は「他にはない」と話していた。
これは確か会見でも言っていた。しかし同時既に東京広告局では元部長の出費が異常だという指摘が 出ていた。これは具体的な店の名前も入れてだ。本当に膿を出し切る
覚悟があるのなら、そのときに解明できたはずだ。経営責任をどう考えるか。
●常務 東京の元部長がそのころは経費の使い方が多いというか、確かに言うようなことはあったようで今回の問題の最初のきっかけも、そういういようなところから出て
きて調べたということだ。問題のやはり膿を出すということは、これも社長もあのときにきちっと説明しているし、そしてそれは私たちの経営という意味ではなくて、
北海道新聞の信頼そのものを考えるときに、膿を出さなきゃならないという認識は私もその通りだと思う。
▲組合 その当時はもう声が出ていた。
●常務 その問題が経営陣までうんぬんじゃなくて、私は知らなかったが、声が届いていなかったということもある。
▲組合 当時、そういう声が現場でわき上がっていたんだが、実際直属の上司が注意していた。そういうことが経営陣に伝わっていれば、こういうことにはならなかった
ということか。


■「経営陣まで指摘届かず」

●常務 そう思う。部長が改善というか、そういうことは問題あるから、節約しろというようなことを言ったということは聞いている。
▲組合 その当時か。
●常務 つい最近というか、今回の問題のときに聞いている。
▲組合 ちなみにその注意はしたようだが、その後も詐取は続き、そしてそのまま当時、部次長だった方が部長に昇格してそれが今回の当事者だ。まったく会社が問題意識
を持っているとは思えないような人事だ。次に経営企画室に聞く。きょうは室長がいないので、室次長に聞く。最初に常務に聞いたように広告局が昨年秋からこの件に
ついて調査を行っていたこと、先ほどのような結果になったということについて、コンプライアンス委員会に説明していたか。また時期はいつごろか。
●次長 説明していたというのは。
▲組合 つまりコンプライアンス委員会は8月1日にわれわれの申し立てを受け、当然広告局にも事情を聴くわけだが、そのときに広告局から実はわれわれは独自に調査
をしていましたと、そしてこういう結果を得ていましたという話はコンプライアンス委員会にあったのか。
●次長 説明としてか。
▲組合 そうだ。
●次長 それは口頭ではあった。
▲組長 それはいつごろか。調査が始まってすぐか。
●次長 もちろんそうだ。
▲組合 そうするとコンプライアンス委員会としてはかなりこれは申し立てのような疑いが濃いなという印象を持ったということか。
●次長 もちろん調べてみなければいけないが、数字的には乖離がないな、という印象を持った。ただもちろん予断を持ってはいけないな、という気持ちもあった。
▲組合 そのときに広告局の方はコンプライアンス委員会に自ら通報しなかったことについて、何か話はしていたか。
●次長 不確かだが、その印象はない。
▲組合 経営企画室というかコンプライアンス委員会のほうから、これは通報義務があるのではないですか、という話はしているか。
●次長 そのときか。
▲組合 そうだ。
●次長 直接は話していないが、それに該当する事案ではないかという、内部では話があった。
▲組合 コンプライアンス委員会の中でか。
●次長 (コンプライアンス委員会の)幹事会のほうでだ。
▲組合 その意向は広告局には伝えているか。
●次長 伝えていない。


■想定回答「問題察知は退職後」

▲組合 昨夜、経営企画室が読者センターの対応用に作成した想定回答に
「Q この問題で、本人は処分しなかったのか?」
「A 本人は今年6月に退職しました。会社としては問題を察知したのは本人の退職後ですので、そのようなことはしておりません」とある。
 「察知したのが退職後」は事実に反するのではないか。1月には広告局内で詐取が濃厚だとする調査がまとめられ、少なくとも3月には当時の池田広告局長らに報告されて
いる。そして5月には本人が事実を認めている。また他紙の報道で「部長が6月に退職した後の8月に内部告発で分かった」とある。退職後に初め て会社が事実をつかんだ
かのように、ミスリードする広報をしていないか。


■一局は「会社」に当らず?

●次長 会社というのは一局とかそういう意味合いではなくて、全体的な意味で会社として受けたという意味だと私どもは思っているし、この会社の対応も、その調査に
基づいて出てきたものだと理解して、要するに申し立てに基づいて調査したという意味合いで話している。
▲組合 この会社というのはコンプライアンス委員会という意味か。
●次長 コンプライアンス委員会も含むが、会社全体という意味合いで言っている。
▲組合 全体といっても報道されるまで社員のほとんどが知らないわけで、会社の定義がそれからすると察知したのはもっとずっと後になってしまうし、常識的に会社の
幹部が知ればそれは察知したことになるのではないか。
●次長 コンプライアンス委員会としては、受理してもそれを広めることはできない。それは結論が出るまで。
▲組合 コンプライアンス委員会がそうだというのを言っているのではなくて、コンプライアンス委員会が察知したものが8月というのはそうだろうが、そうではなくて
広告局はもう昨年から疑いを持っており、少なくとも5月には本人が事実を認めている。それをもって、察知したのは本人の退職後ということは、では 広告局幹部は会社
の定義の中に入らないのか。
●次長 そこは、今回の処分はどこが出したかというと、処分というか方針を出したのはコンプライアンス委員会ですよね。
▲組合 取締役会だ。
●次長 もちろん、取締役会だが、その流れでいえば、どこがスタートかといわれれば、それはやはり申し立てがスタートになる。そういう意味合いで言っている。
▲組合 ただ、これを読めば、読者なり対応を受けた人は、退職してから知ったんだと(思う)。知ったというのは、上司を含めて知ったんだと取る。逆にもし、局の幹部
が知っていて、それでも「察知していなかった」と言ったとしたら、もしこれを読者が知れば、説明がおかしいのではないかと思うのが普通ではないか。
●次長 それは見解の相違になるかもしれないが、現実として私たちは何も知らなかった。そういう意味合いも、もちろん込めている。
▲組合 1月の申し立ての中で、池田局長はもちろんご存知だったわけだが、それ以外で、取締役のメンバーでこのことをご存知だった方はいるのか。
●常務 知らない人もいるだろうな。知っている人もいるだろうし。知らない人もいるだろうな、きっと。
▲組合 知らない人もいたし、知っていた方もいた。
●常務 知っているというのを、どういうふうに知っているというのも一つあると思う。それは噂的なもので、社内でいろいろやっていることが耳に入ってくるというのも、
知っているというのか、そういう情報があったというのも事実だ。
▲組合 噂があれば経営陣としてはそれがどういうことか、指示をするなり、自分で取材するなりするのが経営責任ではないか。
●常務 それは、今回の話はいま言ったが、8月になって初めて動き始めた問題だという認識だ。
▲組合 8月にコンプライアンス委員会に委ねてからは、経営陣が手出しできないというのは理解できる。それまでの間、経営陣の方で知っている方はいなかったのかと
いうことだ。
●労担 他の方のことを知らないが、ほとんどの方は知らなかったと思う。私は少なくとも組合にそういう訴えがあるということで、組合からそういう話があるということ
を聞いた。でも、大半の人が具体的な中身など知っていなかったのではないか。またそれが真実かどうかということも、知っていなかったのではないかと思う。
▲組合 常務はいつごろお聞きになったのか。


■「申し立て以前、疑惑知らぬ」

●常務 僕は正式に聞いたというよりも、聞いたのは8月に入ってからだ。しかも、最初のコンプライアンス委員会が調べているという段階は、私の耳には入ってこな
かった、実は。コンプライアンス委員会というのは、社長直属で、関係者、役員といえども説明していないのではないか。経営会議はいつだったか……。
●労担 この問題が出たのは先月だ。
▲組合 6月末にこの元部長が依願退職されているが、部長クラスの退職はそうあるものではない。有名な方だったとも聞いているが、取締役というか経営陣の中で、
依願退職は発令されているのだから、何か疑問に思わなかったのか。
●常務 私はあるとき、その人が、もうそろそろ自分で事業をしたいということで、辞めたいというふうに聞いている。最初の段階で。
▲組合 まさかその時点で、疑惑があるけれども、または本人が認めたけれども、認めてしまったということではなくて。
●常務 そういうことではなくて。本人はこういう機会に、事業をしたいというような話は聞いていた。本人からじゃないけれど。
▲組合 そうすると、常務は社長に報告することはなかった。
●常務 なかった。
▲組合 またその報告するまでの情報をもなかった。
●常務 はい。
▲組合 労担にもお聞きする。常務の処分を決定した取締役会の一員として処分が軽すぎると思わないのか。
●労担 思わない。
▲組合 告訴も公表もしないと決定した取締役の一員として妥当な判断だと思っているのか。
●労担 その時点ではそういう判断でやむを得なかったと私は思っている。
▲組合 いま振り返ってどうか。
●労担 まあ結果から言ってもそれは仕方ないことだ。その時はそういう判断でやむをえないと私は思っていた。
▲組合 いま振り返って別の選択肢が良かったのではないかとは思わないか。
●労担 結果論から逆に類推してもそれは栓無いことだ。
▲組合 予想できなかったことなら、そういう理屈は成り立つが、14日に申し上げた通り、これは新聞記者といわず、一般常識的に、こうなる展開というのは、誰でも
わかるというか、隠せば隠すほど扱いが大きくなるというか、そんなことは結果論以前の問題だと思うが、労担はそう思わないか。


■「他紙に漏れぬこと願った」

●労担 そうでない道を追及したいと思っていた。それは、内部で例えば今回の場合、毎日新聞に漏れたわけだが、そういうことが起きてほしくないという願いが私にあった。
▲組合 私たちも別に他紙に載ることを喜ぶわけではないが、載らないということはあり得ないだろうなと思っていたし、そうお伝えしたはずだ。先ほども聞いたが、
いつ部長の疑惑を知り、社長に報告したということはあるか。
●労担 ない。
▲組合 いつごろ(疑惑を知ったのか)。
●労担 組合からそういう問題があるのだけれども、ということで非公式に会ってお話を聞いただけだ。私は。
▲組合 そのときが。
●労担 初めて聞いた。
▲組合 それは6月末だと思うが。
●労担 性格に覚えていないがそのころだと思う。
▲組合 三菱自動車の例からも、危機管理というのを非常に大事だというふうに思うが、広い聞き方になるが、会社として危機管理に関してどういうふうに認識しているのか。
●常務 非常に、危機管理をどう考えているかという見解というのは、どういうふうに。質問そのものが、あまりちょっと大き過ぎて、危機管理をどう考えるか というのは
なかなか難しいが、やはり私、最初に言った通り、報道機関として読者の信頼を得るという意味では、読者が信頼してくれるような会社をつくると。 会社であらねばならない
ということだ。それは載せる記事はもちろんのこと、社員一人ひとりが律して対応していかなくてはならないということだ。今回、先ほど私、何回も言ったが本当は情報公開
というものをきちっとして、今回の問題も、先ほど副委員長からいろいろな質問があったが、広告局の対応とか、それか ら、いまから考えれば、そうしなかったら良かった
のではないかという問題も私はあると思う。ただ、その時点、時点で私たちは、今回の問題はどうしても、危 機管理の面で、特殊な状況の中であったと。その中でどうしても
、そこを第一に、本来ならば筋論としてきちっとしなきゃならないことがあったかもしれない が、私はそれを一番、外に漏れるとか漏れないとかいうのではなくて、やはり
警察との緊張関係の中で、私は対応していかなくてはならないという判断の下に、今回いろいろ対応してきたと。そういうことだ。
▲組合 それでは今回の問題の処理の仕方というか対応が、会社が考える筋論というか、本筋の危機管理の方向ではなかったにしても、間違いではなかったということか。
●常務 いまの時点でいえば、それは過去の先ほどからの質問の中で、6月の退職時の問題とか、いろんな指摘をされて、その時の対応に本当に誤りがなかった のかという問題
をいわれれば、別の選択もあったのかなと思うが、少なくともその時点で、私たちが考えていたのはあくまで、警察的なものを入れない、そういう中で内部できちっと決着
させようと考えていたということだ。
▲組合 どんな理由があっても事件が発覚したときに、会社として適切な処理をしなかったということが、事の重大さを招いたというふうに考えるが、どうか。


■「経営陣は適切な処理をした」

●常務 適切な処理を私たちはしてきたと思っている。
▲組合 手法の部分というか、大事なことなので確認させていただきたいが、常務が先ほどおっしゃった、告訴しなかった理由の中で、500万円を返金させるという確約
を取ったという流れがあるが、500万円が10月末に入金されると。それで1日、2日遅れるかもしれないと。その500万円の原資というのは一部では、退職金の半分は
年金として会社から支払うと。要は担保されたそのお金の中から、というふうに一部から聞いているが、その辺はどうか。
●常務 きちっとした話は聞いていないが、本人が退職金の中から一部を支払うであろうとは聞いている。
▲組合 経営企画室にもう一つお聞きする。われわれが申し立てた以外の調査、例えば過去何年間の元部長の経費を洗い出すというようなことはなさっているのか。
●次長 やった。
▲組合 その結果はどうだったのか。つまり、今回の報告にはわれわれが申し立てた以外の結果が出ていないということは、そういう詐取はなかったということか。
●次長 その疑いはなかったと思っている。なかったというか、もちろんある程度手を尽くしても確認できない部分は当然出てくるが、それをもってクロだというわけには
いかない。そういう意味で疑いはなかったと理解している。
▲組合 つまり、クロとこちらが断定できるだけの証拠がそろわなかったと。
●次長 クロといわれると、ちょっと言葉として……。
▲組合 では言い方を換える。こちらが、かなり詐取と言うか、不適切な支出だと疑うに信頼に足るほどの資料は集まらなかったと。資料というか、証拠というか。


■他の疑惑証明する資料なし

●次長 要するに疑いを持つだけの、疑いを持つに相当な資料は見当たらなかったということでいいと思う。
▲組合 今回の調査では、報告書の中でも店側の協力を得たとあるが、それ以外は店の協力が得られなかったのでそれ以上詰められなかったということか。
●次長 そういう面もある。
▲組合 記事化するしないの判断のところだが、先ほどからなぜ記事化しないという判断をしたかと聞いたが、最終的に記事化をしないと判断したのは、今回のケースは
取締役会、あるいは編集局か。
●常務 編集局だ。
▲組合 編集局が取締役会の判断を受けて判断したということか。


■記事化見送りは編集局判断

●常務 取締役会の判断ではなくて、それは編集局が考えるべき問題だが、14日の段階では経営企画室室長などは「記事化する考えはない」と述べた。彼らが述べたので
あって、本来は編集局長が考えるものだとは言ってない。
▲組合 編集局が最終的に判断する問題だ。
●常務 私も編集局だと思う。
▲組合 今回のケースも取締役会ではそういう判断をしたとしても、編集局で別の判断をして記事化するということがあった場合に取締役会としてやめさせることはないのか。
●常務 それはしない。
▲組合 編集局のトップは常務である編集局長だし、自社のことであれば今までの例からしても、社長も含め取締役会の判断なしに、編集局独自で取締役未満の人だけで
掲載する判断ができていたとは到底思えない。
●常務 今までも、そういうケースの場合には、載せる載せないの判断は、あくまで編集局長が持っているということは道新の中で今まで侵されたとは思っていない。
▲組合 編集局長も取締役会の一員だ。
●常務 それはそうだ。
▲組合 14日の重要な決定のときに、取締役会を欠席した人はいるか。


■14日、社長と編集局長は外遊

●常務 14日は、社長と編集局長が中国の方へ行っている。まだ出発する前に連絡している。
▲組合 今日、こういうことを話し合い、こうするということで2人からの意思というのは事前に確認しているのか。
●常務 確認している。
▲組合 実質的には、欠席しても問題はないのか。
●常務 問題ない。内部の問題で言えば、10月7日の常務会、引き続き役員会でどんな話かきちんとしている。当日も、どういうふうな状況か連絡している。
▲組合 あえて不在のときに決定したという意味ではないということか。
●常務 そうだ。
▲組合 コンプライアンス委員会の制度自体について確認したい。先ほど、組合の質問で
「今回の事案は、そもそも不祥事を知った広告局幹部が、コンプライアンス推進委員会に報告する義務があるのではないか」
と質問したときに、常務はコンプライアンス委員会に報告するべきではないと判断したのではないかという答えだったと思うが、コンプライアンス制度は、派遣 社員
の方も含めて、内部の通報制度と同時に、不祥事を知った人の報告義務という形で2本立てになっていると思う。室蘭事件総括の団交のときに、当時の経営 企画室次長が
述べているが、コンプライアンス推進委員会をつくるにあたって、一つは外に向かっての公平性を確保できるかどうか、もう一つは広告局だけに留 まって事実が埋もれて
しまうことや隠蔽されてしまうという懸念が常にあるというかたちのなかで、内部通報制度などの規程を整備していったということだったと思う。経営企画室に聞きたい
のだが、本当に報告義務のない事案だったのか。
●次長 事務局として判断するかどうかということは、大変難しい話だと思う。先ほど、常務が話したように個々のケースによって現場の判断が当然あるのだと思う。今回
のケースがどうかというのは、私一存で「そうだ」とか「違う」とはなかなか言い切れないかなと思う。
▲組合 そうすると、当時室蘭事件総括の団交で懸念していた「不祥事が広告局だけに留まって事実が埋もれてしまうことや隠蔽される懸念が常にある」そのものが今回
的中してしまったということになるわけか。
●常務 コンプライアンス委員会に申し立ては誰でもできるわけで、しなかった理由は先ほど言った状況のなかで、これは個人の申し立てということになっているので、
幹部が、誰がということではなくて、今回の場合は、広告局のなかからそういう申し立てはなかったということだ。
▲組合 通報しなかったけれども、報告義務のある方が報告しなかったのではないか。


■通報義務、次の団交で回答

●常務 次の団交までに調べて精査する。
▲組合 これは報告義務がないという結論になると、コンプライアンス委員会は何なのだということになるから、そこは慎重にお答えしたほうが良いと思う。非常に残念
というか、ある意味、許せないのは、ずっと捜査機関の介入ということを言うが、われわれ社員は道警裏金報道を誇りに思っている。これは編集に限らない。いろいろな
場面で「道新さん、がんばっているね」と言われている。私も経験している。私は報道には関わっていないが、非常に誇りに思うし、また自分が関われる仕事の中で一生懸命
やろうと、それが道新の信頼を高めると思う。それは社員全員がほとんど同じだと思う。道新に勤めている誇りをすごく感じることができて、私は本当にうれしく思った。
それをなにか鬼子のような扱いを会社がしているようで非常に残念でならない。
●常務 鬼子というのは理解できないが、私も道警裏金報道に対して大変な誇りを持っているし、それはいつまでも続けていくべきだ、そういう姿勢を持つべきだ、そういう
新聞社であるということは私もその通りだと思う。道警の道新に対するいわゆる取材上の問題でいろいろあるけれども、それに対して私たちがそれに屈したことは今までない
今回の問題については、自分たちが警察の介入を避けたいということで、自ら律してやっていこうじゃないかということで対応した。だから、道警裏金問題で報道した人たち
が云々とかいう問題と、今回の問題はそういうことではない。
▲組合 しかし、会社がやっていることは、道警裏金報道で高めた道新の信頼を失うことだ。まるで、道警裏金報道でやってきたことを自己否定するような行動にわれわれ
には映る。公表、記事化しないと判断した、役員会、取締役会のなかで、他紙に今回のように報道される可能性、懸念について述べた方は一人もいなかったのか。


■「記事化見送りに異論出ず」

●常務 その前に、いろんな場で話はしているが、役員会では確か、いなかったと思う。
▲組合  今日の朝刊報道以降、読売が夕刊で報道したが、他に取材を受けている、あるいは取材を受けたことがあったら教えて欲しい。
●常務 私が聞いているのは、今日夕刊段階では読売だけだ。
▲組合 それは電話での取材か。
●常務 来られたようだ。
▲組合 今、まさに新発行第4次計画とか車両再編問題の重要な案件の交渉中だ。今回の一連の会社対応で、協議の前提で大切な労使の信頼関係を傷つけたとは考えないか。


■労使関係に傷「申し訳ない」

●常務 それは、大変申し訳ないと思っている。労使の関係を傷つけたというよりも、申し立ては、私は正式には8月もかなり過ぎてからしか聞いておらず途中経過は知ら
ないのだが、どういう対応をしてきたか、組合員から今回の対応についておかしいのではないかという批判とか疑念を持たれているということは、今日の話を聞くまでもなく
耳に入ってきているので、労使の中で少しでもなぜこのような行動をとったのか理解をしてもらいたいということがあって、この団交に出ているのだが、労使の関係に傷が
ついたというか不信感を強めると言われたら、こちらとしては本当に申し訳なく思っている。
▲組合 そうならば、ぜひとも次回の団交で、今回の件で責任ある立場にいた方に出てもらい、話しを聞きたいと思う。
●常務 わかった。
▲組合 報道機関として、情報公開することが大切であるという前提のもとでも、避けたかった道警介入の脅威は、具体的にはどういうものを想定していたのか。


■室蘭の捜査で職場機能麻痺

●常務 室蘭問題のときに、どういうことが起きたかということだが、経営企画室次長も室蘭にいたが、そのときの警察の捜査のありよう、プレッシャーのかけ方、書類など
を家宅捜索して箱に詰めてもって行ってしまうということで、事実上その職場の仕事が麻痺してしまうことがあった。そのとき担当している部長などから、捜査だから致し方
ないということにはなるのだろうが、30数回による聴取を受けたとか、事実上仕事ができなくなってしまったとか聞いている。
▲組合 社内的な混乱というか、そういう事態よりは、後にこのように表に出て、あるいは隠していたといわれかねない状況になっているが、読者の信頼のほうが利益衡量
を図ったときに軽かったという判断だったのか。
●常務 今回の問題を報道することによって、読者がどう判断するかというのはいろいろあるだろうが、読者がどう見ているのかを一番考えなくてはならない。 読者を第一
に考えることはもちろんだが、今回の場合は、紙面化しなくても、内部できちっと処理できるのではないかと判断した。
▲組合 新発行第4次計画では、会社は過去の度重なる労使合意の反故の上で、経営基盤の安定を理由に人件費削減を目的とした合理化提案をしている。労使の信頼関係は、
一度どん底まで落ちた中、別会社化での不安でいっぱいの状況で交渉中だ。会社は今回の事件では、役員自ら判断を誤り、適切な処置を怠った責任を免れようとしたと
疑われてもしかたがない。会社は「転籍はない」を労働協約に明文化するとは言っているが、これもまた破られるのではないかという心配が ある。実際、工場を始め組合員
の怒りは再び頂点に達しようとしている。信頼回復に向けた誠意ある回答をお願いする。
●常務 私の方から答というか、信頼回復というのは両者の信頼関係が地に落ちているのではないかという指摘は、やはり重く受け止めなければならないと考えている。
信頼回復の道というのは、労使でその問題について話し合って、お互いに理解しあって信頼関係をつくるというしか、私はないと思う。団交というのも 重要な場なので、
そういう中で私たち(会社側)が取り組んでいかなければならないだろうと思う。労使合意書の精神的なものというのも私は聞いているし、それは破られるものではないと
私は認識している。
▲組合 昨日の夜から一連のテレビ・新聞の各社の報道を見ていると、問題のごく一部しか報道されていないと、その他のことを知っている者としてはそう感じる。今日
報じた読売の夕刊でも、14日が(会社発表が)19日に遅れたという程度の問題で、はっきり言って、事の本質をついていないと思う。会社として知ったのは8月という
ことだったが、一方、広告局でそういう調査をしていて、一連の事情を分かっていたにもかかわらず、今日の状況に陥った。雑誌などのメディアもあると思うが、これから
本質的な部分も知らされるというようなことも予想される。もしもそんな状況になった場合の対応というのは考えているのか。
●常務 雑誌とか取材とかないとは思っていない。内容についても、きちんと経営企画室の中で、外に対しても広報的なものがあるので、対応していくことになる。
▲組合 先んじて、特別な紙面をつくって読者に対して説明するというのは、選択肢の一つとして考えられるのではないか。


■検証記事「考えていない」

●常務 今回の問題を検証するようなものは、今のところ考えていない。
▲組合 (会社が)警察介入を避けたいとした部分で確認したい。本社広告局そしてコンプライアンス委員会に申し立てられてからの判断、いずれも突き詰めていけば
「警察介入を避けたい」というのが一番の理由としているが、組合としてはきちんと処分してきちんと報道する形で、とする主張がある。警察が介入してくる時点というのは
どんな場面を想定していたのか。想定できるのは、ひとつは会社が自ら告発するという形。それから自ら記事化するという形だ。これら以外に警察が介入してくる場面という
のは、どんなことを想定していたのか。
●常務 それは今回の場合、罪状は「詐欺」という話をしたが、これは親告罪ではないので会社側が 被害届を出すとか、告発するとかこれらがなくとも、警察は入ってくる
ことができると思う。それで私たちはそういうものをしたくないという判断で対応してきたと言っている。
▲組合 そうすると、警察介入されないために自らを律するとしたわけだが、少なくとも、最低限、今回コンプライアンス委員会で判断したような形で広告局が
(対応・処分を)当初やっていれば「自ら律した」という形になっていれば、当該部長が退職した事件になっていなかったと考える。
●常務 先ほどからの最初の質問もいわゆる東京の広告局が今年の1月頃に、コンプライアンス委員会が調べた調査というのは、だいたいその段階で分かっていたのでは
ないか。その段階できちんと対応していればと、そういうことだ。
▲組合 要するに少なくとも被害届500万円を弁済させることによって、会社の考えではこのことで「被害」ではなくなったと。このような措置をとって辞めさせておけば
(事態が)違うのではないかと考える。しかしそれをしなかったわけだが。
●常務 だから結果的に、そういうふうに指摘されれば、そういうことをしておくべきではなかったのかと、個人的にはそう思う。ただ広告局としてはそういう判断を
しなかった。
▲組合 その判断は誤りではなかったのか。
●常務 その時点では警察の介入をさけたいというわけで、広告局もそういう判断をしたのではないか。
▲組合 会社が公表しなかった理由に捜査機関の介入を避けたかったという主目的があるとしたが、それがこのような形で報道されることによって、既に局面は変わっている
と考える。ならば、記者会見なり、今後の取材対応も検討しているのならば、自ら進んで記者会見を開くなどして、詳細を自ら述べることによって リスクを最小限化する
ような考えは必要だと考えるが、どうか。


■「記者会見、必要感じぬ」

●常務 今の段階では、記者会見を開いてこちらから詳しく説明するようなことは考えていない。この問題はこちらから説明するというような必要性を感じていない。
▲組合 毎日新聞が今日朝刊にて5段見出しで独自ネタに準じるような形で報じた。また、今日付の読売新聞の夕刊についても「対応の遅さ」についての記事 だった。
であれば、組合が14日に指摘したように、14日の処分発表の段階で公表していれば、まだ傷は浅かったのではないかと考える。会社はそのように考えないのか。
●常務 結果的にどうだったと言われたら、それはそうだったかもしれない。ただその段階では私たちはその必要性を感じていなかったと先ほどのべたが。
▲組合 危機管理というのは、まさに結果がどうなったかということについて、なされるのだと認識している。であれば、これは誤りだったのではないのか。
●常務 そうは思っていない。
▲委員長 これはまだまだ入口で、先ほど申し上げた通り、池田さん、矢萩さん、それと、なぜきょう経営企画室長がいないのかよく分からないが、調査の事実上の責任者
である室長を交え、いろいろ尋ねたいことがまだまだある。多分、この団交のニュースをもって組合員の相当数が、この事案の本当の姿に近づくということになる。職場説明
が行われたところ、行われていないところ、いろいろあるが、わからない人が分からない人に説明しているという状況なので、ニュース が出た後に大変なことになると思う。
それは覚悟しておいてほしい。先ほどから、管理担当常務が自ら律するとか、一人ひとりが律するとか言っているが、臭いものにふたをすることだとは、私は学校では
習わなかった。自ら律 するというのは、われわれの業種の場合は、ひとさまに押し付ける物差しよりも、より厳しいものを自分に突きつけるということでしかないと思う。
それは一種 のダブルスタンダードだが、この会社におけるダブルスタンダードは全く逆だ。新聞に対して読者の目が冷ややかにやっているというのは、そういうことが
見抜かれているからではないのか。奇しくも委員長に立候補したとき、私は選挙広報に似たようなことを書いた。まさか、こういう形で、広報で書いたことに直面しなければ
ならなくなるとは、夢にも思わなかったが、当時の思いはまったく変わっていない。今回の北海道新聞がやってきたこと今日の団交でのやりとり、すべてまったく逆だと思う。
(引用終わり)
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